一般民事事件とは、日常生活で発生する法律問題、特に、個人(または法人〔会社等〕)間の契約や財産、損害賠償請求に関する事件です。例えば、交通事故による損害賠償請求、未払い賃金の回収、不動産の契約トラブルなどが含まれます。

1.交通事故では、加害者側・被害者側の立場に応じて、慰謝料や治療費の請求、過失割合の交渉が重要になります。適切な賠償を受けるためには、法律の専門知識を活かした対応が有効です。

交通事故のケースをいくつか紹介すると

①交差点での出会い頭事故
 あるドライバーが信号のない交差点に進入した際、右側から来た車と衝突。原因は「一時停止の未確認」と「速度超過」。このケースでは、交差点進入時の安全確認と減速が重要です。
②歩行者の飛び出し事故
 夜間、歩行者が横断歩道のない場所を横断しようとした際、車と接触。ドライバーは暗闇で歩行者を認識できず、ブレーキが間に合わなかった。夜間の運転では、ヘッドライトの適切な使用と歩行者の動きへの注意が必要です。
③自転車との接触事故
 自転車が車道を走行中、左折する車と接触。ドライバーは自転車の存在を見落としていた。自転車との事故を防ぐためには、左折時の後方確認と自転車専用レーンの活用が重要です。

また、交通事故の場合、被害の算定につき、「自賠責基準、保険会社基準、裁判基準(弁護士基準)の差」、「後遺障害の有無、等級の審査」、「相当因果関係の有無」等、証拠収集や熟慮を要する問題があります。交通事故の加害者または被害者となり、相手方との交渉を専門家に任せたい、また、相手方から受けた呈示内容にどのように対応するべきか迷っているという時、弁護士との法律相談をご検討下さい。

2.貸金問題、売買代金問題、請負報酬問題等、とある契約により、対価として一定の金銭を支払う場面において、「お金を支払ってくれない」、「お金を支払えない」ということがあります。支払を請求する側であれば、交渉を行い、交渉決裂時の裁判による金銭支払請求を行います。請求される場合であれば、交渉、そして、裁判を起こされた場合の応訴になります。

3.不動産問題では、賃貸契約の更新・解約、売買契約のトラブル、建物の瑕疵(欠陥)問題などが発生します。
具体的な不動産問題のケースとして以下のような例があります。

①土地・建物の欠陥
 ある買主が住宅を購入し、住み始めた直後、雨が室内の壁に浸水するということがありました。この場合、売主に契約不適合責任として、修理請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除を求めることになります。いかなる解決が可能であるか、また、有効であるかを検討することに目が行きがちですが、そもそも契約不適合といえるかどうかについて、細かな分析や証明手段を検討することが重要です。

②アパート・テナント・土地の賃貸借契約の更新拒否
 長年住んでいた賃貸物件の更新時に、家主から突然「契約更新不可」と通告されました。理由は「建物の取り壊し予定」でしたが、実際には新しい入居者を募集していました。賃貸契約の更新拒否には正当な事由が必要であり、この正当理由が裁判所に認定され得るかどうかを検討する必要があります。また、この正当事由を補完する要素としての立退料の是非に関する問題もあります。

③アパート・テナント・土地の借地料トラブル
  アパート、テナント、土地を賃貸しているものの、賃借人が賃料を支払わずに居座られるということがあります。賃料不払いは、2か月程続けば賃借人の責任により信頼関係が失われたとされ、賃貸借契約解除のうえで、賃貸物件の明渡し、未払賃料の支払を請求することになります。

④土地の境界問題
 ある土地所有者が隣地との境界線をめぐってトラブルになりました。境界問題は、当事者の歩み寄りが望めない場合、筆界特定手続という非訟手続の他、抜本的な解決として、訴訟による解決を求めることもあります。訴訟の場合、境界確定訴訟、または、所有権確認訴訟が考えられ、これらの訴訟の差異について、事前に熟慮する必要があります。また、訴訟提起後、その境界についての調査のため、土地家屋調査士の協力を求めたり、裁判所による土地の形状等を調査する鑑定手続に及んだりすることもあります。その場合の、当事者に求めれる経済的負担が軽くない場合があります。境界問題は、相手方との非訟手続や訴訟等による激突前に、事前の事実、法律等に関する調査と土地家屋調査士等専門家の助言を要する特殊な事件です。

4.一般民事事件の中で特殊な事件として、医療過誤事件があります。医療行為を受けた際の治療のミス、誤診(傷病の見落とし等)、診断の遅延、事前説明不足等の類型があります。いずれも、本来正当な業務である医療行為から派生する損害であるため、交通事故や犯罪等の被害を受けた場合よりも、医療機関側の過失、医療行為と損害との相当因果関係、損害の範囲や金額算定等につき、証明のハードルが高いという点で、慎重な熟慮を要します。

5.労働事件とは、職場でのトラブルを法的に解決するための手続きです。代表的な問題として、不当解雇、未払賃金、パワーハラスメント、労災事故などがあります。
 ①解雇問題
 使用者が従業員を正当な理由なく解雇するケースがあり、裁判や労働審判での争いとなることがあります。
 (1)不当解雇問題
 使用者による従業員の解雇が、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」(労働契約法第16条)とされます。
 不当解雇が問題となる事例としては
 a.「能力不足」を理由とする解雇であったものの、使用者側の十分な指導や研修等が行われていなかった場合
 b.使用者の個人的な感情が理由である解雇の場合
 c.労働組合の個人的な感情による解雇の場合
 d.従業員側に懲戒事由に該当する行為が認められるとしても譴責、減給等の緩やかな処分が相当であったり、また、従業員側の弁解等聴取が不十分なままに解雇を言い渡した場合等があります。

 (2)整理解雇が不当とされる場合
 事業縮小や経営不振等等、使用者側の事情により労働者を解雇することを「整理解雇」といいます。この整理解雇の有効性については、判例上、4要件
 a.整理解雇の必要性が真実存在すること
 b.整理解雇を避けるための努力を使用者が尽くしていること
 c.対象者の選定の合理性
 d.労働者との間で十分な協議が尽くされていること。整理解雇を言い渡された場合、それ以前に、「事業不振説明とその改善のための従業員への要請」、「希望退職の募集」、「解雇通知以前の協議」等が一切無いという時、4要件を満たしていないとされる可能性があります。

➁未払賃金問題
 従業員の賃金については、「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」(労働基準法第24条第1項本文)とされています。ここで賃金については、労働の対価として支払われるものであれば、基本給、手当、残業代等名称を問いません。
 特に、顕著である事例としては、残業代の未払い、残業手当や休日手当の割増率の誤り等です。これらの賃金未払の場合、計算方法については、基本資料となる労働契約書等から、比較的容易に立証できるところ、やはり、「労働の事実」の立証が重要となります。通常、労働の事実は、タイムカードや勤怠管理システム等の労働時間の記録から立証することになりますが、従業員が実際に働いた時間が正しく反映していない場合、通勤に利用したICカードや携帯電話のGPS機能により事業所の出入の時刻を推測したり、また、事業所内でのパソコンの利用状況や作成したデータの記録時刻等から導き出すことがあります。

③パワーハラスメント、労災事故等
 パワーハラスメント被害、労災事故の場合、法律上、安全配慮義務違反の成否を事業者に問うことを検討します。また、労災事故の場合、労働基準監督署への労災申請を行い、負傷事案での給付(療養補償、休業補償等)や死亡事案での給付(遺族補償、葬祭料等)を求めます。いずれの場合であっても使用者側が、「パワーハラスメントは存在しない。」、「労働災害は存在しない」と反論してくるケースが珍しくなく、その場合、被害を受けた従業員側での立証が必要となります。