多重債務に陥り返済のため生活維持が困難である場合,以下のような処理方法があります。

1.任意整理
 弁護士が依頼者に代わって各債権者と交渉し,返済額や返済期間について各債権者と和解をすることです。弁護士に依頼した場合,相手の債権者に取引履歴を開示してもらい,利息制限法に沿った引直計算を行います。その結果,借金が減額されたり,長期間にわたり返済を続けていたときなど場合によっては過払金が戻ってくることもあります。
引直計算後の借金残額については,通常,将来利子がつかないように交渉したうえで,分割払いの和解を行います。なお,この将来の利子については,債権者が免除を拒絶することもあります。
〔メリット〕
①債権者のうち減額などの交渉を行いたい相手を自分自身で選ぶことができます。
②債務者が所持している財産(家や自動車など)を処分する必要がありません。
〔デメリット〕
①任意整理の相手である貸金業者から「事故情報」として任意整理を行った事実が信用情報会社に届けられてしまいます。その結果,新規の借り入れはしばらく困難となります。
②昨今の傾向として、債権者側が、元本のみならず将来利息についても減額に一切応じないとする回答を受けることがあります。また、過払金についても、平成22年6月18日以降出資法の上限金利が利息制限法と同じ20パーセント以内とされ、過払金の発生根拠であるグレーゾーン金利が撤廃されてから既に久しく経過しています。また、過払金の債権についても10年間の消滅時効が適用されるため、過払金債権が見つかったとしても、消滅時効期間が経過しているという例もあります。それゆえ、過払金について、以前のように多重債務解決の手段として、あまり期待できない時期に入っていると思われます。以上より、任意整理を行っても、経済的な利点が無い、ほとんど無いという結論に至ることも考えられます。
※なお、金融機関等の業者から借入と返済を繰り返したうえで、最後の取引より5年間以上、取引が無いという状態が続いた場合、債権者側にて訴訟提起や支払督促申立等の時効更新手続が取られていない場合、債務者側から債権者へ消滅時効を援用するということもあります。

2.自己破産・免責
 債務者の現在及び将来の収入や財産によって借金を返済することが不可能である場合に,債務者が高価な財産を処分する代わりに,裁判所によって法的に借金をなくしてもらう手続です。
〔メリット〕
借金がゼロになりますので,生活再建が図りやすくなります。ただし,税金,養育費や扶養義務に基づく支払債務,故意または重過失による不法行為に基づく損害賠償債務,罰金等は免責されません。
〔デメリット〕
①家や自動車など高価な財産は処分を要求されます。所持しているお金も一定額以上は手放さなければなりません。家具など生活必需品は処分する必要はありません。
②手続期間中,一定の職業に就くことができなくなります(弁護士・税理士,宅地建物取引主任者,生命保険募集人,旅行業務取扱主任者,警備員等)。
③自己破産の事実は官報に記載されますので,完全に隠すことは困難です。
④債務のうち誰かに保証人になってもらっていた場合,その人に迷惑がかかります。
⑤債権者のうち誰かを特別に破産対象から外して返済することはできません。
⑥借金の内容が浪費や賭博の場合,あるいは破産を決めた後に借金をするなどの行為がある場合,免責が許可されないことがあります。
⑦信用情報会社に登録されしばらく新たな借り入れができなくなります。
※注意
 破産免責申立手続を弁護士に委任したとしても,申立て準備のため一定の期間がかかります。その間,破産免責申立ての事情を裁判官に説明するための陳述書作成や財産関係などの書類収集のため当事務所にお越しいただかなければなりません。弁護士受任の際には,御協力をお願い致します。

3.個人再生
 個人再生とは、裁判所を通じて借金を減らし、残額を分割で支払っていく手続きです。借金総額が5000万円を超えるとこの手続きはできません。債務合計が100万円以上500万円以下であれば100万円まで借金が圧縮されます。500万円を超え1500万円未満の場合は最大5分の1ま で減額可能です。1500万円以上3000万円以下の場合は最大300万 円まで減額可能です。3000万円を超え5000万円以下の場合は最大1 0分の1まで減額可能です。なお,減額した額よりも多くの財産を所持して いる場合,その財産額だけ返済する必要があります。
 このように減額した借金を原則として3年以内に分割して支払っていくということになります。この借金には将来利息はつきません。
〔メリット〕
①保有している財産の価値が上記の債務に応じた圧縮額を上回る場合,保有する財産価額に達するまで最低限支払をしなければなりません。その代わり,破産と異なり財産の処分する必要がなくなります。ただし,ローンを支払い続けている自動車は,債権者に回収されてしまうことがあります。
 他方,ローンを払い続けている住宅に住んでいる場合,一定の場合,ローンを払い続けることを条件に,手放さずに済むことがあります。
②破産と異なり資格制限がありません。
③破産と異なり借金の理由にかかわらず実行することができます。
〔デメリット〕
①破産と同様に,債権者のうち誰かを特別に破産対象から外して返済することはできません。
②一定額の返済が必要ですから一定の収入がないと利用できません。
③借金総額が5000万円以下である必要があります。
④信用情報会社に登録されしばらく新たな借り入れができなくなります。
※注意
 個人再生を弁護士に委任した場合も,破産の場合と同様に,申立て準備のため一定の期間がかかり,陳述書作成や財産関係などの書類収集のため当事務所にお越しいただく必要があります。御協力を御願い致します。