行政事件とは、行政機関の判断や措置に対し、市民が法的に争うケースです。行政の誤った決定や不当な対応から権利を守るためのみならず、自己の権利利益とは離れて、行政の適法性の確保や法秩序の維持のために起こす場合(いわゆる客観訴訟)があります。

1.国家賠償請求
 公務員の違法な行為や行政の過失によって損害を受けた場合、国や地方公共団体に対する損害賠償が問題となります。具体的な例として
 ①国や地方公共団体の公共事業が原因である公害による健康被害につき賠償請求する事案
 ②地方公共団体から得た営業上の許可が取り消されたためその違法主張のうえで営業上の被害につき賠償請求する事
 ③国や地方公共団体が管理する道路や庁舎に欠陥があり、それにより損害を被った場合に賠償請求する事案(いわゆる営造物責任)等があります。

2.行政不服審査申立
 行政庁の処分や不作為に対して異議を主張する場合、行政不服審査法に則り、行政不服審査を行政庁(処分庁またはその上級庁)に申し立てることが可能です。行政庁へ是正を求める簡易迅速な手続です。処分の取消を求める場合、その処分を知ってから3か月以内、また、処分の翌日から1年以内に申立てを行なわなければならないという期限があるため注意を要します。

3.抗告訴訟
 行政庁の公権力の行使に対して不服を主張する場合、行政庁ではなく、裁判所に、訴訟提起することも可能です。
 ①行政庁の処分や裁決の取消を求める取消訴訟
 ②処分・裁決の存否または効力の有無の確認を求める無効等確認請求訴訟
 ③処分や裁決等をなすべきであるにもかかわらずこれを行わない不作為の違法確認訴訟
 ④申請、審査請求に対し、相当期間内に何らかの処分・裁決がなされない場合等の義務付訴訟等があります。

4.住民訴訟
 地方公共団体のみを相手にできる客観訴訟(自分の権利利益ではなく客観的な法秩序の適正を求める訴訟)の一種です。
 地方において、地方公共団体の行為の差止め、取消し、無効確認の請求、または、不作為の違法確認、もしくは、地方公共団体にて職員その他の者への損害賠償または不当利得返還請求を行うように求めるべく住民監査請求を地方公共団体に申し立てることが可能です。その結果に不服がある場合、または、行政不服審査にてその異議が認められながらも是正措置が取られない場合(監査請求前置主義)に起こされる訴訟が、住民訴訟です。
 原則として、住民監査の結果通知から30日以内に地方裁判所へ提訴する期限があります。公金の使途の問題、公有地の処分や開発許可の問題等、地方自治の財政上の問題について住民全体の利益のためにその是正を図る特別の制度です。