長らく当事務所の都合により中断していたコラムですが,再開させていただきます。
前回が2016年6月なので,5年程空きましたが,2016年はリオデジャネイロオリンピックが開催された年でした。その後,東京オリンピックが,新型コロナウイルス感染症で1年延期の上で開催され,前回コラムの時と比べては,社会は一変しました。健康,経済,仕事,日常生活等,何もかもが良くない方向へ向かったように感じます。諸事不足ある当方としても,より一層,助言を下さる方々の話を伺い,身を慎まねばと思う日々です。
さて,新型コロナウイルス感染症の流行により,不要不急の活動に対する自粛が求められた結果でしょうか,当事務所での法律相談申込みに際して,度々,電話相談の可否についてお尋ねがありました。
これにつき,当事務所では,従来,直接面談方式の法律相談を原則としており,電話相談については,例外的に対応していました。なぜ,直接面談方式を原則としていたのかといいますと,
1 法律相談の際,相談者から伺うお話以外にも,相談者の表情や健康状態等のお具合を伺い,限られた相談時間で,極力多くの情報を得ることができます。
2 相談の際,訴状や答弁書等の裁判関係資料,また,借金等の督促状や契約書等,資料を拝見することは珍しくありません。直接面談であれば,そのような資料を臨機応変に確認することができます。
3 基本的事項ですが,相談をされる当事者の本人確認にあたり,直接面談方式と比較して,電話等を介しての相談では,他人のなりすましについて注意する必要があります。
等の事情です。
例外的に,ご高齢,障害等があり,また,緊急を要する場合,電話相談も受けていましたが,数としては非常に少ないままでした。比率で言えば,直接面談方式50件に対して,電話相談1件という程度だと思います。
しかし,新型コロナウイルス感染症の流行により,感染対策が必要となりました。そのような点では,直接面談方式と電話相談方式では,非常に差があります。また,外出自粛の観点からすると,当事務所への往復を可能であれば避けたいという方もおられることでしょう。
実際,テレワークやリモート授業等が行われるようになり,コミュニケーションツールを利用しての意思疎通が推奨されるようになりました。
これに加えてですが,裁判所の裁判手続のIT化が始まっています。民事裁判手続において,通常,裁判の日に,当事者やその代理人弁護士が,裁判所へ赴き,裁判に出廷するというのがこれまでの原則でした。当事者が遠隔地にいる等の理由により,電話回線やテレビ電話方式を用いた手続等も存在しており,積極的に利用されていますが,裁判手続のIT化により,裁判につき,ウェブ会議やテレビ会議の積極的な導入,これらコミュニケーションツールを利用できる期日の拡大という表舞台,さらに,書面のオンライン提出や証拠等の電子記録化,裁判期日決定や争点確認等のオンライン活用等,裏方面でのネット利用が進められています。この裁判手続のIT化の流れは,大きな変動といえ,当方としてもその知識習得や機器の拡充は必須です。
以上,新型コロナウイルス感染症という社会的な問題,裁判手続のIT化からして,今現在が大きな変革期にあり,当事務所の業務においても見直すべき部分があります。
その一環として,当事務所において,正式に,電話相談とテレビ電話相談(ツールとしては,原則ZOOMを利用します。)を受けつけることにしました。
また,これら電話相談またはテレビ電話相談を希望される方の中には,「弁護士への委任までは考えていないので,直接事務所まで赴くことに気後れする。」という方もおられることと思います。
これらの事情を全て考慮した上で,当事務所のIT関連もより強化しつつ,電話相談とテレビ電話相談の専用申込フォームを新たに,当事務所ホームページへ設けます。当事務所のIT顧問であるシステムエンジニア渾身のコンテンツであるので,ご利用いただけると嬉しく思います。専用申込フォームですが,以下のような事情での法律相談希望者を想定しています。
①新型コロナウイルス感染症対策として直接対面方式ではなく電話,テレビ電話での相談を希望している方
②多忙により当法律事務所への来訪が困難である方
③高齢,病気,ケガ,障害等により外出が容易ではなく当法律事務所への来訪が困難である方
④当事務所の営業時間(平日午前9時00分~午後6:00)以外,すなわち,夜間,土日祝日等の法律相談を希望される方
⑤弁護士への正式委任は予定しておらず,法律相談だけを希望している方(無論,急ぎ弁護士委任を強く希望される方でも問題はありません。既に訴訟提起されている方等です。)
電話相談またはテレビ電話相談につき,相談料やお守りいただきたい事項等は,専用申込みフォームに記載していますので,お申込みの際にはご確認をお願い致します。
久方ぶりのコラムということで,最後までまじめな話となりましたが,ご容赦下さい。休載中,仕事に関連して,面白くもためになる出来事(30パーセントくらいの確率で,当方がエライ目に遭うパターンですが…)が多数ありましたので,次回から,いつものパターンで行こうかと思います。今後ともよろしくお願い致します。